建設業における労働災害の発生状況は、長期的には減少傾向にあるものの今なお、年間300名近くの人が尊い命を落としています。このような中、労働災害の防止のためには、適切な労働災害防止策を講じる必要があり、そのためには十分な安全衛生経費が確保され、それが元請事業者から下請事業者まで行き渡った状態で施工することが必要です。労働災害防止のためには当然費用がかかります。その費用は、安全のための設備に関するものであったり、教育訓練に関するもの、保護具など多岐にわたっています。建設業においては、経済情勢に左右される請負金額、中小企業が多く存在する重層構造などのゆえに安全衛生経費が十分に確保できない状況で施行するケースも見られます。また、安全衛生経費の取り扱いについて、元請負人・下請負人間で十分に理解されていない状況もアンケート調査の結果により明らかになっています。安全衛生経費の確保促進については、厚生労働省や国土交通省、建設業労働災害防止協会、建設労務安全研究会がここ数年来検討を重ねてきました。また、「建設工事従事者の安全及び健康の確保の推薦に関する法律」が平成29年3月に施行されその基本的な施策の中で「建設工事の請負契約における経費の適切かつ明確な積算等」が定められています。